寄稿文Connection

「せらせらぴー秋。輝くダリア」

写真と文山本まりこ

■魅惑のダリア

秋の世羅高原農場、そこは、まるで楽園のよう。
だって、見渡す限り、ダリアが咲いているのだもの。

色とりどりのダリアに囲まれながらシャッターを切っていると、時を忘れてしまう。
あっちにこっちに美しいダリアが咲いていて、シャッターを切る手が止まらない。
朝一で世羅高原農場に入場、夕方まで撮り続けていることも、もう何度も。

それはとてもとても魅惑的、そして、幸せな時間なのです。

秋の世羅高原農場のダリアについて、先日、第一回目の記事が公開になりました。
せらせらぴー秋。ダリアの花園|写真と文山本まりこ|寄稿文|世羅高原農場45周年アニバーサリー

今回は、秋の世羅高原農場のダリアの「さらに」、撮影する「さらに」を綴りたいと思います。

■輝くダリア

「世羅高原農場のダリアを撮影するなら、どの時間がおススメですか。」

世羅高原農場のダリア畑に約10年通い続けているので、そんな質問もたくさんいただきます。

お答えします。
おススメは、

・晴れの日の早朝と夕方
・雨の日

です。

まずは、晴れの日の早朝。
晴れの日の早朝は、ダリアが輝きます。まるで宝石のように。

太陽が上がったばかり、まだ朝露をまとっているダリアは、朝日を受けて、輝くのです。
キラッキラに。
花びらに水晶(クリスタル)をたくさんつけて輝いているように。

その時間を言葉にするなら、「世羅クリスタルタイム」。
あっちもこっちも、キラッキラ、クリスタル。

世羅クリスタルタイム、
こんなに美しい世界があるのだろうか、私はそんなことを思いながらシャッターを切るのです。

そして、晴れた日の夕方。
斜めに傾いた夕方の光が、世界をドラマティックに包み込みます。

この写真を撮っている時の私の心の中を、今でもはっきりと覚えています。
自分でも大好きだと思える写真が撮れている、そんなことを実感しながらシャッターを切ることの出来る幸せ。

もう、もう、最高です。

そして、雨の日。

雨の日、ダリアは雨粒を纏います。
雨の日も、まるで水晶(クリスタル)を纏ったかのうような美しいダリアが、あっちにこっちに輝いているのです。

550品種、7,500株のクリスタルダリア。

「晴れだったら良かったのに。」
「雨だから今日は撮影はいいや。」
「なんで雨~。」

旅先で雨が降ると、あちこちから聞こえる声。
実際、雨の世羅高原農場で朝から昼過ぎまで撮影していても、私以外の人は、ちら、ほら。
写真を撮っている人はほぼいない、なんて日もありました。
目の前にこんなに美しい世界が広がっているのに。

カメラがあれば、雨の日、そこはワンダーランド。

傘を入れて撮ったり、シャッタースピードを調節して、雨の軌跡を写したり。

雨の日の世羅高原農場は、ワンダーランド。
みなさんもぜひ、雨の日にカメラを持って撮影してみてください。

■カエルくん。ひょっこり

世羅高原農場のダリアの花園で毎回、私がものすごく楽しみにしていること、
それは、カエルくんに会うこと。

ダリアのお花の中にひっそり、いるんです。

7,500株のダリアの中に、ぽつり、ぽつり、といます。
あちこちにたくさんいる、というわけではなくて、探して探してやっと見つかる、そんなイメージです。

見つけたときは、
ああ、ここにいたんだね。
と、静かにシャッターを切ります。

あまり動かず、じいいーーっつとしているカエルくん。
刺激しないように、私もそおっと撮影します。

でもたまに。
虫が近づくと、シュシュシュッと動き出すカエルくん。
今までウトウトと眠っていたかと思ったのに、びっくりするくらい俊敏に。

そんな時間を見ているのも楽しいものです。

こちらはトンボさん。

猫さんも。

にぎやかな秋の世羅高原農場です。

■朝の世羅

朝の世羅
世羅の町や、世羅高原農場までの道のりにも、美しい秋があります。

彼岸花やススキがゆらゆらと。
私が滞在している中でも何度も霧がかかることがありました。
世羅の朝は早起きをおススメします。

■世羅のごはん

さあ、ごはんの時間です。
今回ご紹介するのは、雪月風花 福智院さんの「世羅おむすび精進カレー」です。

世羅の野菜がたっぷり、椎茸や大豆やフルーツなどの旨味がギュッと詰まった精進カレー。お米どころの世羅のお米のおむすびが、どーんとのっています。そして、精進カレーなので、お肉や玉ねぎ、にんにくなどが入っていません。

実はこのカレー、私、山本まりこがレシピを提供させていただきました。
実は山本、写真家ですが、スパイスフーズ作家でもあります。
「精進カレーってあっさりしたイメージだけど、旨味があって美味しい」と好評をいただいております。

■せらせらぴー

美しいお花に囲まれ
美味しいご飯をいただき
優しい人々とお話し
いつの間にか笑顔になっている、世羅高原の旅。それは、大きな優しさに包まれているように気持ち良くて、まるでセラピーを受けているよう、そんな風に思うのです。
だから、私は、世羅で過ごす気持ち良さを「せらせらぴー」と呼んでいます。

せらせらぴー

それでは、秋の世羅でお会いしましょう。

山本まりこ

写真家。スパイスフーズ作家。理工学部建築学科卒業後、設計会社に就職。25歳の春、「でもやっぱり写真が好き」とカメラを持って放浪の旅に出発しそのまま写真家に転身。風通しがいいという意味を持つairy(エアリー)をコンセプトに、空間を意識した写真を撮り続けている。撮影、執筆、講演、講師など活動は多岐。写真集「ARIY COLORS」「熊野古道を歩いています。」、著書「エアリーフォトの撮り方レシピ」など11冊出版。写真とスパイス料理の教室Room5656主宰、写真とスパイスカレーの空間PEANUTSuu(ピーナッツぅ)をOPEN。好きな食べ物は、カレーとイカ。