寄稿文Connection

「冬にも『灯りの花』が咲く」

橋本 拡史

創業45周年を記念して2回目の寄稿をさせていただきます。
1回目の寄稿文(「45周年に寄せて」)も併せてご覧ください。

今回は、冬のイベント「世羅高原キャンドルナイト」と、世羅高原の夜の魅力について書かせていただきます。

このイベントが始まる前に、農場代表の吉宗誠也さんから話を伺ったことがあります。「冬の時期、しかも夜に新しい試みを始める」とワクワクした表情で話をされていました。
僕はその時、これで世羅高原にも春夏秋冬のすべてのシーズンに花が咲くんだと思いました。冬に咲く花?と思われるかもしれませんが、冬の花とは「灯りの花」のことです。

世羅町は気温の寒暖差が大きい地域。そのため花は色鮮やかさを長く保ち、我々の目を長期間楽しませてくれます。
春・夏・秋と季節の花を愛でるには最高の場所といえますが、冬に限っては気温が低く、雪が降ったり道路が凍結したりとやや不利な地域です。
そこで、冬を楽しめる場所としてキャンドルの灯りを取り入れた「世羅高原キャンドルナイト」の企画は素晴らしいと思いました。

写真を撮影するのにおススメな時間帯があります。
まずは、夕日が沈む前後の「マジックアワー」です。暮れなずむ空にキャンドルのほのかな灯り。空が青からオレンジ、あるいは紫へとグラデーションを描きます。時間と共に色が劇的に変化し、自然とキャンドルの灯りが織りなすロマンチックな時間です。
ぜひこの時間帯に撮影してみて下さい。

そして、陽が落ちると満天の星空が現れます。キャンドルの灯り越しに見る星という名の無数の宝石。地上の暖かな灯りとコラボする時間帯もおススメです。

また、私も1度だけ体験したことのある雪の日のキャンドルナイト。
いつかは写真に収めてみたいと思っていた光景です。急に降り出した雪に興奮しながら撮影したのをよく覚えています。

冬の寂しげな風景が白銀の世界に変わります。

キャンドルライトが雪に反射され、何とも言えない幻想的な光景になります。
そんなタイミングに出会えたら、とてもラッキーですよ!

私はカメラマンなので、カップルやファミリーの写真をこの場所で撮影させていただく機会がたくさんあります。

特にブライダル撮影にはピッタリのロケーションです。開園以来、たくさんの方を撮影してきましたが、とても美しい写真が撮影できます。色鮮やかな花々も良いですが、ちょっと大人っぽい雰囲気のキャンドルナイトでの撮影も素敵です。

毎年趣向を凝らしたエリアがスタッフの方々の手によって作られます。
設営や片付けなど大変な部分もたくさん見てきました。
しかし、いつも笑顔で対応されていて、とても感心します。

冬期限定のキャンドルナイトは、暖かな灯りが皆さんを迎えてくれます。

今年も11月2日より12月24日まで開催されるそうです。
開催日などについての詳細はウェブサイト(https://sera-candle.com/)をご覧ください。

ぜひ、キャンドルナイトにお越しになり、大切な人と大切な時間を過ごされてみてはいかがでしょうか?身も心も癒される幻想空間ですよ!

さて、世羅高原の夜についても触れておきたいと思います。

グループ施設では、特別に夜間開園する日があります。昼間には見られなかった、花たちの妖艶な姿にドキドキしながらシャッターを切ります。夜は視覚が限定されるからか、嗅覚が敏感になり、ふじやイングリッシュローズなどはより香りを感じます。

また、自然豊かな世羅高原農場は夜の景色も美しい。

都会からやってきた方は、星の多さに驚かれることでしょう。
人家が少ないため、光害が少ないのが特徴です。天気が良ければ沢山の星が見えます。タイミングが合えば、天の川も目視できるほど空がクリアなのです。園内に咲いている花や、三角の形が特徴的なメタセコイアの木々をシルエットにして撮るのも良いものです。

空に近い高原。星降る高原。
そんな気持ちになる場所なのです。

これらの写真は夜間、特別に園内に入らせてもらって撮影したものですが、今後こういう機会が設けられるといいなとも思っています。ぜひ世羅高原での撮影を楽しんでください。

橋本 拡史(ひろふみ)

東京工芸大学 写真技術科卒業
東京・自由が丘の「藤原写場」勤務の後、実家の「橋本写真館」に従事。
富士フィルム営業写真コンテスト銅賞など様々なコンテストに入賞。
全国技能グランプリ「写真」部門に広島県代表として出場。
現在、二科会写真部展 6年連続入選中。