寄稿文Connection

「45周年に寄せて」

橋本 拡史

「まるで桃源郷のよう」
広大な花畑を目にしてそう思われる人も多いだろう。
4つの農園がある世羅高原農場グループは広島県・世羅町にある。
全国優勝回数最多を誇る世羅高校・駅伝部の活躍で「駅伝の町」として有名だが、
近年は「花の町」としても多くの人から認知されている。

県内外の人から、世羅町の印象をうかがうと
「キレイな町だね」
「活気がある町じゃね」
と言われ、この町に住む自分も嬉しく思う。
これは世羅高原農場さんの長年にわたる努力の賜物(たまもの)だと思う。
広大な敷地はもちろん、花の色鮮やかさも来園者を驚かせる要因だ。
これは、良質の種や球根などが使われている事や、肥沃な土壌作りにも尽力されているからであろう

4つの農園は標高400〜500メートルに位置し、1日の寒暖差が激しい場所にあるのも特徴の1つ。人にとって寒暖差は嬉しいことではないが、米作りを始めとする農作物や花などには好影響らしい。寒暖差があることで、花の発色がよく、花が長持ちする。
だからキレイな花が多く、長い間花が楽しめる。
でも、最大の魅力は、この花々がスタッフ皆さんの手により精魂込めて育てられ管理されている点だろう。

キレイな花を見て嫌な気持ちになる人はいない。
日頃の喧騒(けんそう)を忘れ、花のパワーを存分に感じられる「癒しの聖地」なのだ。

我々カメラマンにとっても心動かされる場所である。
花模様や人の行き交う動線など毎年デザインが変わるので、僕みたいなヘビーユーザーでも何度も訪れたくなる

特に開園直後の朝方や、閉園間近の夕方の時間は、斜めから射す太陽光も相まってとても美しい景色を演出してくれる。
花を楽しむお客様だけでなく、カメラマンもワクワクさせてもらえるフォトジェニックな場所だ。

また、写真的にいうと、周りに人工物や障害物が少なく、空に抜ける場所が多いのも良い環境といえる。

高原ゆえの起伏があり、その高低差をうまく利用して、カメラアングルを変えられ、いろいろな視点からも撮影が楽しめる。

高い位置から見下ろしたり、地面スレスレから撮影できたり、バリエーションも豊富だ。
花が曲線に植えられている場所もあるので、直線にはない優しさも感じる。

撮影しながら来園客の方と話す機会があれば、
「この農園さんは、出来上がった花を持ってくるのではなく、この場所で育てているんですよ。また、このチューリップは機械で植えるのではなく、全部人の手で植えているんですよ」
と言うと、皆さんが一様に「こんな広大な土地をすべて人の手で…。」と驚く。

広大な土地と農園の特徴を生かした見せ方、映えるためのスポット作りを日々探求されているようだ。

我々は、休園時のスタッフさんの仕事を見る機会はないが、キレイな花を咲かせるため、そして来園者さんに笑顔になってもらうための最大限の労力をかけられているのであろう。

この農園で開催されるフォトコンテストの審査を長年させていただいている。
毎回多くの応募数があり、審査は楽しく刺激的な時間だ。

こんな場所も…とか、こんな角度から…など、審査していても新たな発見がたくさんある。
県外の写真愛好家も多く、2日間休みが取れると、車中泊をしながら2日間とも朝から閉園時間までたっぷり撮影されるという猛者もいらっしゃる。
それほどまでにカメラマンを魅了する場所なのである。

観光で来園されるお客様にとっても、我々カメラマンにとってもこの場所は見せる、そして魅せる「桃源郷」なのだ。

これからも益々のご発展を祈念いたします。

橋本 拡史(ひろふみ)

東京工芸大学 写真技術科卒業
東京・自由が丘の「藤原写場」勤務の後、実家の「橋本写真館」に従事。
富士フィルム営業写真コンテスト銅賞など様々なコンテストに入賞。
全国技能グランプリ「写真」部門に広島県代表として出場。
現在、二科会写真部展 5年連続入選中。